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スタッフのコラム

スタッフのコラム Vol.4

成瀬貴紀2003年11月4日 更新

入社4年目、ディレクターの成瀬貴紀(28歳・男・独身)です。
真剣10代 しゃべり場 担当

ディレクターと書きましたが、まだまだ駆け出し半AD状態で、担当した番組は、チャンネルをザッピングしてる時に「若者が輪になって、やたら熱く語っている」ことで記憶にある人は多い、NHK「真剣10代 しゃべり場」だけです。なので、とりあえずこの番組がどうやって作られているのか。携わって思うことなど書いてみます。

この番組は、10代の若者10人が大人のゲスト1人と話し合う45分間の討論番組で、毎回、一人が提案者となってテーマを出します。10人が提案を終える3ヶ月ごとにメンバーが入れ替わっていて、ちょうど今、来年1月~3月放送分のメンバーの選考中です。先週末も静岡・名古屋・三重・新潟・富山に行き、10代たちと話をしてきました。

<しゃべり場メンバー選考>

選考は、大量に届いた応募用紙を読み、その中で気になった人に電話で話をして、さらに気になった人に会いに行きます。「何を基準に選考しているのか?」とよく応募者の人に聞かれますが、一言で言うと単純に話を聞いてみたいと思う人を選んでいます。「なんだそれ?偉そうに」と思われるでしょうが、この番組は、ディレクターをしていると自分が偉そうに思えてくる番組なんです。
応募者との会話は「なんでそう思うの? それで? だから? 矛盾してない? 結局何が言いたいの?」など、人に伝えることに慣れていない10代への厳しい突っ込みが中心。それにへこたれない骨のある10代を探すためですが、そんな会話を一日6時間、1週間も続けていると、会議のプレゼンが苦手で、人に伝えることが下手な自分を棚に上げて偉そうになっていきます。
そうやって電話で喋っていると、周りにいる徹夜も辞さずに働く諸先輩方に「いいよな そうやって偉そうにくっ喋ゃべって、全国周って美味いもん食ってよー」などと突っ込まれます。確かに、今回も味噌カツ、生牡蠣、蛍烏賊、など地物を堪能してしまいました。すいません。今週末は福井に行ってきます。

私たち大人にも無関係ではない「10代の本音のぶつかり合いから見えてくる問いかけ」がしゃべり場の番組としての意義の一つなのですが、多くの10代は話すことが苦手だったり、討論に興味がなかったりします。そんな10代をどうやって取り込んでいくかがメンバー選考で頭を悩ませる所です。

<しゃべり場収録>

メンバーが決まると3ヶ月の収録が始まります。番組の構成要素は「喋り」のみ、収録は一回勝負、「司会者なし、台本なし、結論なし」が売りの現場で、ディレクターにできることは「がんばれ」と励ますことぐらいです。
過去にも、提案者が開始直後に感泣し、涙ながらの訴えも何を言ってるのか分からない状況に陥り、収録を終えたこともありました。そんな収録を3ヶ月もやっていると体重が5キロぐらい落ちます。
収録でディレクターにできることがほとんどないしゃべり場で、番組が上手くいくかどうかは収録までの準備にかかっています。そこでは、人知れず提案者とディレクターの血と汗と涙の闘いがあります。
そんな闘いの末のスタジオで、提案者の訴えに感情移入し、溢れる涙を必死でこらえたこともありました。

<しゃべり場編集>

収録の次は編集作業です。編集は、編集マンと呼ばれる人と二人でやります。二人でやるので意見が合わないと大変で、議論がいつの間にか口論になって、何時間も編集が進まなかったことや、ふと横を見ると編集マンが感動して泣いていたこともありました。狭い編集室にも血と汗と涙と鼻水が流れます。

収録までは、10代とのやり取りの中で客観的になれないことが多いので、編集では見る人に伝わることを心がけてやっています。そして編集が終わると、テロップ、音楽、ナレーションが入れられ番組が完成します。

<しゃべり場 その後>

3ヶ月の収録が終わってから、しゃべり場を離れたメンバーから連絡をもらうことがあります。
「生きる意味がわからない」と言っていたメンバーが大学に進学して「学校楽しくてしょうがないですよ」などと明るい報告を受けると、散々悩みに付き合った身としては、なんだか腹立たしくなったりもします。
それでも、しゃべり場で自分と関わって変わっていくメンバー達を見ていると「この番組にも意味があったんだな」などと個人的なエゴながら嬉しく思います。もちろん、いいことばかりではないのは承知ですが、最終的に「番組に出たことを後悔されない」ことを第一に心がけなければいけないことを、番組が終えた彼らと付き合うようになってから考えるようになりました。偉そうに書きましたが、言うまでもなく逆に10代の彼らから学ぶこともたくさんあります。

しゃべり場のメンバーたちと

番組作りについて一通り流れを書きましたが、いかがでしたでしょうか。
番組作りとは言っても、関わる人とのやりとりに翻弄され、思惑とは違ったカタチでいつの間にか出来上がるということの繰り返しで、まだまだ若輩者です。いつか六本木ヒルズに住み、赤坂で鮨が食えるぐらい稼げるように、精進していきたいと思っています。

以上、駆け出しディレクターの「つぶやき」でした。
次回は「ケツの青いこと言ってんな」と喝の入った円熟「つぶやき」です。ご期待ください…

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