ドキュメンタリー・情報番組を中心に

株式会社クリエイティブネクサス

株式会社 クリエイティブ ネクサス

映画・ドラマも手がける映像プロダクション

ドキュメンタリー・情報番組を中心に映画・ドラマも手がけます

  • 新宮ディレクター

海男、山ディレクターになる

山番組??出来らあっ!

弊社の名物だった秘境系や紀行番組に憧れ、入社して20年近くになります。近年は山番組を主に担当し、四季を問わず国内の山々で奮闘中です。多い時で年間の半分くらい(今のご時世、そうならないと思いますが)ロケに出てたこともあるのですが、会社に入るまで山とは無縁でした。
何を隠そう、私は千葉の外房出身。夏遊びに行くのは専ら海。そもそも県内に高い山などありません。そんな私に、ある日上司が言いました「お前、次は山番組やってくれ」。何故か反射的に「出来らあっ!」と答え、10年が経とうとしています。最初からうまく登れたわけではありませんが、人間色々と慣れるもので、冬の3000m峰に登ったりもして自分の番組が急遽延期となった大河ドラマの第一回話の代わりに放送されたこともあります。
元々海外の自分が見たことない景色を番組にしたいと思っていましたが、過酷な環境だからこそ一層美しさを放つ自然を目の当たりにすると「日本の自然も素晴らしいなぁ」と驚かされます。それなりに色々な場所に行かせてもらいましたが、毎回新たな発見と感動に出会えるのがこの仕事の楽しみであり、続けていられる動機となっています。

プロとしての条件とは?

山番組で一番求められ、自分でも追求していることは「綺麗な映像を紹介する」ことです。そのために機材や収録方法に工夫を凝らしていますが、狙った映像が撮れるかは「良い天気や気象条件に巡りあえるかどうか」に依ります。
ある著名なプロフェッショナルは、プロの条件として「10%の才能と20%の努力、30%の臆病さ、残る40%は”運“だろう」と語っています。私の場合はどうかというと、才能→1%(なくてもできると思います。実際自分にはないと思います)、努力+臆病さ(臆病だから準備が必要で努力してリサーチしたり、信頼できるスタッフを集めたり準備する)→49%、閃き(現場で気づくことやそれを生かすために物語の方向性を瞬時に変える)→20%、運→30%くらいでしょうか。「人事を尽くせば天命はきっとやってくる!」と信じてロケに挑んでいて、幸運を待つだけでは成り立たない仕事です。
ちなみに、編集の時は運などありません!撮ってきた映像から「いかに魅力的な物語を作るか」をずっと考え続けていく必要があります。ディレクターは現場と映像とで何度も旅をすることができる特権を持っているのです。

一番大変なことは?

「山登るなんて大変だね」とよく言われますが、登ることよりも待つことの方がずっと大変です。ある山で山頂の景色を狙っていた時のことです。最高の日の出と共に出発し、1時間も経たずに山頂に着くのですが、その頃には天気が悪くなるという日々がありました。ここの景色を撮らないと先へと進めないので、長いときには12時間も山頂で待機したこともあります。何もしていないわけではなく、「晴れるぞ!」とカメラを構えればまた雲が出てきたり・・・そんなことが1週間も続くと気が滅入るどころの話ではありません。
どうやって精神状態を保つかというと、恥ずかしながら一緒にいる気心知れた撮影隊に救われています。頼もしい出演者の方、どんなところでも撮影してくれるカメラマン、30kg以上の荷物を背負ってくれる歩荷さん。普段は一匹狼も多いのですが、この時ばかりは同じ目標に向かってくれる姿を見てると、大した荷物を持たずに指示だけしている(たまに撮影もします)自分は「諦めちゃダメだ!」と勇気づけられ、モノマネ大会を開いて気持ちを落ち着かせています。待ちに待った結果、狙った映像が撮れれば最高以外に表現のしようがありません。

これまでのキャリア

2004年入社
ADとして『素敵な宇宙船地球号』 『真剣10代しゃべり場』 『科学大好き土よう塾』 などを担当
2006年
『科学大好き土よう塾』でディレクターデビュー、以後同番組を多数制作

主な担当番組

2007年
『解体新ショー』
2008年~2012年
『月刊やさい通信』 みかん・もやし・ダイコン・サクランボ など計24本制作
2012年~2013年
『仕事ハッケン伝』 森泉×動物病院、庄司智春×お茶の水楽器街、磯山さやか×クリーニング店 計3本制作
2013年~
『にっぽん百名山』 剱岳・水晶岳・八ヶ岳・飯豊山・幌尻岳など制作中
2014年
『グレートトラバース~日本百名山一筆書き踏破~』 ロケディレクター
2017年~2020年
『北アルプスドローン大縦走』 剱岳や黒部源流、冬の穂高連峰・槍ヶ岳などを舞台に計5本制作

就職活動をしているみなさんへ

様々な想いがあってこの業界を志しているかと思います。当たり前かもしれませんが、会社に入ることが目的でなく、ディレクターになることを前提に考えてもらいたいです。ディレクターは番組のあらゆることに関わる重要な存在です。自分で調べて、ロケをして、物語を作る。その番組が放送で流れるというのは、この仕事でしか経験できない喜びです。
ディレクターにも色々なタイプがいて、口下手でもリーダーシップがなくても、その人の真摯さや熱意が伝われば皆ついてきてくれるはずです。ただし「もっと掘り下げて調べてみよう」とか「目線を変えてみたらどうだろう」など、探究心がないと与えれた仕事をやるだけでは面白さを感じることができないですし、ディレクターにはなかなかなれないと思います。ということで、特別な能力は必要ない職種ではないでしょうか。スキルは色々必要ですが、仕事をしていくうちに自然と身に付くと思うのでご安心下さい。

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