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シリーズ「高円寺の薔薇亭」大友ディレクターの覚書

1月上旬、以前取材をした高円寺の洋食店「薔薇亭」のマスターと偶然再会した。
年末、店が火事にあったと聞き、驚いた。
50年もの間、夫婦で若者たちの胃袋を支えてきた街の名物店だった。

店には宝物だという、常連さんとの写真や手紙がびっしり貼られていたはずだった、
それも全て焼けてしまったと聞き、いても立ってもいられず、
取材時に撮った店の写真をありったけプリントした。
あの時、私は謎の使命感を負っていた。
そして、翌日、ママがずっと店の前に立っているというので、届けた。
これが取材の日だ。

写真を手渡した時、ママは泣いていた。「嬉しい。私の宝物。」と言ってくれた。

その日、私が店の前でママと一緒にいたのは1時間ちょっと。
その間、何人もの人たちが、「お母さん、心配してたよ」「体に気をつけて」
「店が再建したオープニングパーティでは俺が絶対演奏するよ」と
ママに次々と声をかけていく。ママはその度、深く頭を下げていた。
本当に街中に愛された名店だったのだ。この時、強く実感した。

50年続けてきたことを突然奪われるのはどんな気持ちだろうか。
1日中、店に立ち続けてきた夫婦にとって、店がない生活はどんなものなのだろうか。
マスターは、今も毎日コックのズボンを履いていると言っていた。

口で「絶対、再建する」というのは簡単だ。実際には、物凄い労力とお金がかかるだろう。年齢的な問題もある。
それでも、前に進むのか。それ以外の道を選ぶのか。はたまた新しい道を作るのか。

夫婦の選択を、そしてそれを支える人たちの思いを、見つめたいと思った。
そして、この記録を残すことが、何かの形で夫婦の助けになると信じて撮り続けたいと思っている。
(大友D)

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